眼の病気 5. 緑内障 2

緑 内 障 2


F 緑内障はどういう病気でしょうか

 さて、緑内障とはどういう病気でしょうか。

 いつも緑内障の患者さんに最初に説明するお話をこの後に書いてみます。

  これは普通の緑内障( 開放隅角緑内障 )の説明です。

☆ あなたの眼は緑内障という病気になっています。

・ 緑内障というのは、ものを見る上で大事な働きをしている、目の神経が悪くなって、視野が狭くなる病気です。

 めずらしいものではなく、40歳以降になると非常に多くなる病気で、20人に1人は緑内障と言われています。

「ここは番外の説明です」
 ( 目は外から入ってきた光を感じることができます。光を感じているのは視細胞という目の神経の一部ですが、感じた光をさらに頭の中の脳に連絡していく神経もあります。

 目から伝えられた情報は、頭の中で、脳の働きによっていろいろな処理をして、実際にわれわれがものを見ている感覚になるわけです。

 ですから目から頭までをつないでいる、目の神経が悪くなると、頭の中へ情報が伝えられず、見えない部分ができてくるわけです。 )

・ 自分ではなにも症状がないので、知らないでいることが多い病気です。
 人間ドックで見つかるか、たまたま他の病気で眼科にかかって、緑内障とわかる方がほとんどです。

・ 目の神経がなぜ悪くなるのか、本当のことはわかっていません

 見える範囲をはかると( 視野検査のことです )、目の神経が悪くなったところが見えなくなっています。

  ほっておけば少しずつ見えない場所が広がっていきます

  進行はゆっくりですが、10年先、20年先のことを考えて、なるべく悪くならないように、進行を抑える治療をします。

・ 治療は、まず目薬でします

 目ぐすりは眼圧を下げるくすりを使います。治療前の眼圧はひとそれぞれで、高い方、低い方がいます。

眼圧は日によっても季節によっても違いますし、朝夕でも違います。

  しかし、その人の大体の基準の眼圧がありますので、それを少しでも低い眼圧になるように下げることが治療になります

( 眼の病気3、で眼圧について説明してあります )

・ 緑内障という病気になぜなるのかは、わかっていませんが、

眼圧を下げると、病気の進行が遅くなることはわかっています

現在できる治療は、眼圧を下げることだけです。

 普段の眼圧が20を超えている方は、目薬で15ぐらいまで下げます。
 元々、眼圧が低くて、16ぐらいでしたら、目薬で12ぐらいまで下げることが治療になります。
  どこまで下げたら良いのかは、人によって違います。

・  治療中の眼圧がいくつだから、良いとか悪いとか、単純には言えません

 同じ数字でも、ある人にとっては十分ですが、他の人ではもっと下げる必要があることがあるからです。

 個人個人でどこまで下げるかという目標の眼圧は異なります。病気の進み具合も関係します。

 治療を続け、何年か経過を見て、視野の悪化がどの程度進むかを見ながら、眼圧をどこまで下げたら良いのか考えて行きます。

・ 目薬は毎日点眼する必要があります。少し面倒ですし、最初のうちは忘れることもありますが、慣れれば大丈夫です。

・  目薬の種類は何種類もありますが、普通、最初は1つの目薬から始めます。

 眼圧の下がり具合を見ながら、2種類、3種類ぐらいまで増やすことがあります。

・ 目薬には副作用のあるものもあります。

 特に注意が必要なのは、喘息と言われている方です。
 めぐすりをさすと、喘息が誘発されることがあるからです。

 薬を処方する前には必ず喘息の持病があるかどうか患者さんに確認します。

・ 治療が安定すれば、2〜3カ月に1回ぐらいの受診で経過を見ていきます。

 視野検査は6か月に1回行うのが原則ですが、軽い方は9か月〜12か月に1回ぐらいのこともあります。

・ 急に悪くなる病気ではありませんから、短期間の経過であわてることはありません

 治療をしないでほったらかしにするのが一番いけません。

・ 目薬で十分に眼圧が下がらない場合や、病気が進行している方 ( 特に若い方 )では点眼治療をしながら、手術治療を考えていくこともあります

 手術も眼圧を下げるために行います

  手術の効果はすべてで有効とは言えませんが、他に方法がない場合には、積極的に手術を考えていく必要があります。

 「 このような説明を、一度にすべての内容というわけではありませんが、初めての患者さんにすることにしています。」
 

G 緑内障の目薬

 普通の緑内障( 開放隅角緑内障 )は、まず目薬で治療をします

 40年前は、目薬の種類は2種類しかなく、しかもあまり効きませんでした。

  しかし、最近では非常に多くの種類の目薬が開発され、眼圧を下げる働きも強くなって、治療が昔にくらべて楽になっています。

 普通良く使われているのは3種類です。
 
 他にも5、6種類ぐらいの目薬があり、それらを組み合わせて治療していきます。

 最初は1種類から始めて、経過によっては3種類ぐらいまで使うこともあります。

 あまり目薬の数が増えると点眼するのが大変ですから、このぐらいが普通は限度です。

 目薬の回数は1日に1回点眼するもの、2回するもの、3回するものがあります。
 当然、回数が少ない方が楽ですし、忘れにくくなります。

 一番最初に使われるのは、1日1回点眼する薬が一般的です。

 朝点眼するのか、夜点眼するのかは、薬によっても違いますので、医師の指示に従ってください。

・ 目薬は目の中 ( 正確に言うと目の表面です ) に1滴入れば十分です
 目の表面にはあまり沢山の水分は入りません。

 沢山目薬をさしても、それだけ効くわけではありません。こぼれてしまうだけです。
 1滴でも多すぎるぐらいです。(もっとも涙で薄まる場合もないわけではありません、まあ多くても2滴まででしょうね)

・ 目薬をさした後、数分間目を閉じてください、とか、下まぶたの目がしらを押してください、とか説明してあるものもあります。

 これは目から、のどの方に目薬が流れて吸収され、体へ影響することを抑えるために言われていることです。

 目薬の種類によっては、たしかに正しいことですが、面倒な場合はあまり気にしないでもいいですよとお話しています。

・ もう一つ、目薬を2種類点眼する時は、間隔を5分間あけてください、と薬局では説明されます。

 続けて二つの目薬をさすと、効果が薄くなってしまうためですが、これも大変なら2,3分でいいですよと私はお話ししています。

 目薬は毎日使うものですから、あまり神経質になるよりは、大体でやっていただく方が、続けるのが楽なように思います。

 気をつけるのは、忘れないことと、目の中にしっかり入れることです

 意外と、目の中にきちんと入っていないことがあります。

 目薬をうまくさすのは、なかなか難しいことです

  お年寄りでは、できれば、まわりの方が点眼してあげるのが一番良いと思います。

・ 薬には副作用があります。目薬の副作用で多いのは、目が赤くなる(充血)ことです。

 くすりによっては最初から赤くなりやすいことがわかっているものもあります。程度によって、そのまま続けるかどうか考えます。

 どんな目薬でもありうる副作用は、アレルギー反応です。
 
  目が赤くなって、ごろごろしたり、まぶたが赤くただれたり、白目が水ぶくれになったりすることがあります。

 これは薬のアレルギーだけでなく、目薬の中に入っている、防腐剤のようなものに反応していることが多いようです。

 いずれにしても、そのような異常があったら、目薬をやめて、早めに病院へ連絡してください。

・ 緑内障の目薬で今、一番よく使われる目薬 ( ラタノプロスト、キサラタン、トラバタンズ、タプロス、ルミガン、ザラカム、デュオトラバ、タプコム、ミケルナ、ラタチモという名前です) では、
 まつ毛が太くなって伸びてくる副作用があります。人によっては邪魔だという方もいます。( 逆に、美容目的で売られています。)

 もう一つ困る副作用は、下まぶたの皮膚が、くまができたように黒ずむことです。女性の方は気になるようです。

 これを防ぐには、まず目の周りにこぼれた目薬を軽く拭きとってください。
そのあと、目をつぶって、目のまわりの顔を洗うといいと思います。

 皮膚についた薬を洗い流すということで、もちろん、目の中は洗ってはいけません。

 お風呂に入る前に点眼して、お風呂で顔を洗うように説明されることもあります。
ただし、お風呂に入らない日でも、目薬は忘れずにさしてください。

・ もう一つ良く使う目薬で、気をつけなくてはいけない体の副作用があります ( チモプトール・チモロール、ミケラン・カルテオロール、ハイパジール・ニプラジロール、ミロル、ザラカム、デュオトラバ、タプコム、ミケルナ、ラタチモ、コソプト、アゾルガという名前の目薬です )。

今までに喘息という病気がある患者さんには、この薬は使えません

 目薬で喘息が起きる危険があるからです。

  目薬を使っている途中から喘息になる方もいますので、必ず眼科医に伝えてください。

・ 目薬は封を切らなければ、普通2,3年有効です。びんに有効期限が数字で書いてあります。

 封を開けてしまうと、薬局では1か月以内に使ってくださいと言われます。
 点眼びんの先が汚れて、くすりが不潔になってしまうためです。

 でも、緑内障の目薬は高いものが多いので、私は2か月ぐらいは大丈夫ですよとお話します。

点眼びんの先端が不潔にならないように、注意して使ってください。

  
H  緑内障の手術

 緑内障は古くから手術をしています。ただし、近代的な手術と言えるのは40〜50年ぐらい前からでしょうか。

 それ以後、色々な手術の方法が開発されてきました。

 しかし、残念ながら、今でも、これが一番と言える方法はありません。それぞれに問題点があります。

  現在は、患者さんの年齢や病気の状況に合わせて、手術方法を選択していきます。

 さて、緑内障には二種類あることを、これまでにも説明してきました。この違いによって、手術法、手術の考え方が違います。

☆  閉塞隅角緑内障( へいそくぐうかくりょくないしょう

 この緑内障では治療は基本的に手術が必要になります。その点で、開放隅角緑内障とは異なります。

 閉塞隅角とは隅角( 目の中で、水の流れる出口のところです )がつまっている( 狭くなっている )という意味ですから、それを解消してあげる必要があります。そのために手術をします。

 以前はメスで切る手術しかありませんでしたが、最近はレーザーを使うことが多くなっています。

 急性緑内障でもまずレーザーを考えるのが一般的です。

 ただし、レーザーの手術をする代わりに、白内障の手術をすることも、最近は増えてきました。

 白内障手術( 眼内レンズ手術 )をすると、狭かった隅角が広がり、閉塞隅角緑内障では治療の効果が出ます。

  手術の適応には色々な条件がありますが、一つの有用な手段になっています。

 これらの手術を行った上で、なおかつ残る緑内障( 開放隅角緑内障の要素 )の治療を、目薬で追加することもあります。

☆  開放隅角緑内障( かいほうぐうかくりょくないしょう

 これまで、普通の緑内障として説明してきたものです。

 これはまず目薬で治療を始めることを、お話してきました。

 しかし、薬では十分に眼圧が下がらず、視野の悪化を抑えることができない場合、手術を考えます。

 特に若い患者さんでは、これからの人生が長いわけですから、できるだけ将来にわたって生活に困らないようにするためには、眼圧をできるだけ低くしておく必要があります。

 そのために手術で眼圧を下げるわけです

 目薬も手術も眼圧を下げる目的で行うことは同じです。

 手術は、うまくいけば目薬に比べて眼圧が大きく下がりますので、目薬では眼圧が十分下がらない場合は手術を考えなくてはいけません。

 眼圧を下げるための手術法はいくつかの種類があります。

  眼圧が上がるのは、目の中にある水の流れが悪くなって、水がたまりすぎてしまうことが原因です( 眼の病気3 : 眼圧 )。

・ 一番よく行われているのは、この目の中にたまっている水を、眼球の外に移動させるために新しい流れ道を作る、いわゆるバイパス手術です。

眼球の外と言っても、結膜( 白目 )の下を通じて目の奥の方に流すわけで、直接目から水が涙のように出てくるわけではありません。

 最近では、金属やプラスティックでできた道具を使う方法も行われています。

・ バイパス手術は、かなり前から行われてきた方法ですが、数十年前は、手術の効果がうまく出るのは、半分以下という低い成功率でした。

 その後、薬物を併用する方法が生まれ、成功率はだいぶ上昇しました。
 それでも、長い経過で見ると、7〜8割ぐらいの成功率にとどまっています。

 また、手術がうまくいっても、術後の合併症という問題を起こす危険もあります。

・ 合併症で問題になるのは、目の中にばい菌が入る、感染です。

 眼圧がよく下がっている人ほど危険が高いので、痛しかゆしです。

 また、手術の後に、少し視力が落ちる場合もあります。

 ですから、白内障の手術のように、ほぼ100%うまくいって、術後の問題もごくわずか、というものに比べると、緑内障の手術は理想的な治療とは言えません。

※ でも、視力や視野を守るために、手術は、やはりなくてはならない治療法です。

 医師と患者さんがよく話し合って、手術をするかどうか考えていかなくてはいけません。

  我々にとっても、なかなか難しい決断であることは間違いありません。

 もうひとつの問題は、手術は普通1週間近くの入院が必要になることが多いので、働き盛りの患者さんでは、休みを取りにくいということがあります。純粋に医学的な判断だけで考えるわけにはいかず、難しい問題です。


※ 少し特殊な手術法としては、目に他の病気があるため、眼圧が極端に上がり、痛みが強い時に行う手術があります。このような場合、視力はほとんど見えなくなってしまっていることが多いので、特別な方法で手術をします。視力を守る手術ではありませんので、患者さんにとっても、医者にとってもうれしい治療とは言えませんが、苦痛をとるためにはやむをえないものです。