眼の病気 4. 緑内障 1

緑 内 障 (りょくないしょう)


  緑内障は我々眼科医にとって、わからないことが多く難しい病気です。

  ここでお話する内容も沢山あります。思いついたまま、すこしずつ書き足してていって、修正しながら作り上げていきます。

☆  内容の目次 

 緑内障  1

 @  どういう緑内障があるのでしょう。いくつかに分かれます。
     ・開放隅角緑内障(かいほうぐうかくりょくないしょう)
 A  緑内障は目がみえなくなるの?
 B  緑内障はなおらない、て本当?  緑内障は手術ができない?
 C  急性閉塞隅角緑内障 : 目が痛い、頭が痛いと緑内障? 
    (きゅうせいへいそくぐうかくりょくないしょう)
    ・頭痛、眼痛、吐き気にご注意
 D  眼圧はどういうもの?
 E  緑内障の患者さんに使ってはいけない薬

 緑内障  2

 F  緑内障はどういう病気ですか
 G  緑内障の目薬
 H  緑内障の手術



※ 緑内障の中に、赤ん坊や若い人がなる、生まれつきの緑内障がありますが、ここではふれません。


@  大人の緑内障には二種類あります
 
 40歳ごろから増えてくる普通のものと、お年寄りの女性に多い、急性緑内障です。
  まず、最初は普通の緑内障のお話からはじめましょう。

※ ここで普通の緑内障と言っているのは正確には、

    開放隅角緑内障(かいほうぐうかくりょくないしょう
    と言います。

・ 20代でも全くないわけではありませんが、通常30代後半から病気が始まることが多いようです。

 一応、40歳を目安に考えますが、それ以降の年代では、20人に1人が緑内障に関連した病気と言われています。

 かなり多いのですが緑内障は症状がないので気がつかないのです

A  緑内障と聞いて患者さんがよく言うことに、

緑内障は目が見えなくなる恐い病気ですね、というものがあります。

 目の病気で最悪の結果が失明であることは言うまでもありません。
  緑内障は確かに進行して末期になると失明につながる病気です。

 しかし、ほかの病気でも失明することはあります。
 
  問題なのは病名ではなく、病気の進行程度です。

  今、当院で治療している緑内障患者さんは、1000人以上いると思いますが、10年間の間で片目が見えなくなってしまった方は、数人だと思います。

 重要なのは、治療を始めた時の患者さんの年齢と、緑内障の進行程度です。

 80歳ぐらいで初期の緑内障なら、経過をみるだけで、治療をしないこともあります。

 我々が外来で見ていて、治療が難しいと感じる患者さんは1割弱です。目薬で治療をしていれば、大半の方は生涯問題なく過ごせると言えます。

B もうひとつ患者さんからよく聞く言葉は

  緑内障はなおらない病気だと聞きました、

 あるいは緑内障は手術ができないんでしょう、ということです。

・ 病気の中には、ある程度治療をした後、もうこれでなおりました、と言えるものがあります。

 これに対し、高血圧や糖尿病の治療のように、毎日薬を飲み続けなくてはいけない病気もあります。

 緑内障も同じで目薬を毎日続ける必要があります。

  そういう点から治らない病気、と言うのかもしれませんが、治療法がないわけではありませんし、病気の進行を抑えることができるわけですから、正確な言い方ではありません。

 医者はこういう状態のことを、病気をコントロールする、と言っています。

 ・ 手術について言うと、緑内障は昔から手術をしていますし、

最近は手術法が改善されて以前よりも成績が良くなっています。

  ただし、基本的には普通の緑内障( 開放隅角緑内障 )では、まず点眼治療を行い、点眼だけでは効果が不十分なときに手術をするので、患者さんの中で手術のイメージがあまりないのかもしれません。

・ 逆に白内障では手術以外の治療法がなく、手術をすればほとんどなおるので、余計に緑内障には反対のイメージがあるのだと思います。

C  目が痛いとか、頭が痛いという時に緑内障ではないですか、と言って受診される方がいます。

 眼科医以外のお医者さんも同じで、そのような紹介をしてくることがあります。これらの大半は緑内障ではありません。

 まず第一に、このような症状は普通の緑内障(開放隅角緑内障)では見られません。

  痛みが出るのは、急性閉塞隅角緑内障の症状です。

 急性緑内障はあまり多くありません。
 
  また、40〜50歳までの若い方、目の痛みがあっても、普通の生活ができているような方であれば、このタイプの緑内障ではないと言ってもいいと思います。

 でも、誤解をさけるために気をつけるポイントは、眼科医以外の方には、なかなかわかりません。
 
 これを次にもう少し詳しく説明します。


★ 急 性 緑 内 障

  これは正確には
 
  急性閉塞隅角緑内障 
    ( きゅうせいへいそくぐうかくりょくないしょう )

 
  と言います。

 ・ 最初に言ったように、普通の緑内障はなんの症状もありません

  目が痛くなったり、頭が痛くなるのは急性緑内障です。

  これは突然眼圧が極端に高くなるために症状がでるわけです。

 他の症状としては、吐き気があり、実際に嘔吐してしまうこともあります。

  ですから、患者さんの病気が緑内障であることに気がつかないで、

脳外科の検査をしたり、消化器の検査や治療をすることがよくあります。

救急外来でも気がつかないことがよくあります。

 これの困った点は、目の病気であることに気がついてすぐ治療をすれば、視力は元に戻り障害を残しませんが、

治療が1日遅れると、回復できなくなり、極端に視力が低下してしまうことです。

 急性緑内障になるのは、一般的には60歳過ぎの方で、女性が多いです。
 
  元々の、自分の目のかたちが病気になりやすいために起こります。

高齢者で頭痛、吐き気がある時は目を見てください

急性緑内障なら、白目が赤くなっていますし、目も見にくくなっています。

ライトで照らすと、瞳が広がっているのがわかることもあります

 食事もとれずぐったりしている方がほとんどで、目の訴えをすることを忘れていることもありますので注意が必要です。

 また、老人施設に入っている高齢者の方が急性緑内障を起こすことがあるのですが、気がつかれずに時間がたって、回復できなくなることを時々経験します。

 自分の意思をうまく伝えられない方が多いので、なかなか発見が困難です。

 急に食欲がなくなった場合は要注意と思います。

 やはり、目を見てください。赤くなって、瞳が大きく広がっていたら、すぐに眼科を受診させてください。
  
※ 病気を起こしやすいかどうか、どうすればわかるのでしょうか

  残念ながら、眼科医が診察する以外には方法はありません。
 
  普通の緑内障のチェックも含めて、中年以降の方は一度目の検査をした方が良いでしょう。

D  眼 圧 (がんあつ) 

 眼圧は眼球(めだま)の硬さです。

  目はピンポン玉のような形をしていますが、ゴムボールのように少し軟らかいのが普通です。

 ボールに空気を沢山詰めると硬くなりますが、それが眼圧が高い状態です。

 逆に空気がなくなるとべこべこになりますが、これは眼圧が低いということになります。

 正常の眼圧は数字で10から20の間です。

 普通の緑内障では、眼圧は正常の場合と、高い場合があります。
  高いと言っても40以下のことがほとんどです。

 それに対し、急性緑内障では眼圧がいきなり60以上に上がりますから、強い症状が出るわけです。

 目が正常の眼圧を保っているのは、目の中に常に一定の量の水があるためです。
  ボールの空気の代わりに、目は水で圧を維持しているわけです。

 目の中には水が湧き出る、泉のような場所があります。ここから出てきた水は、目の前の方に流れていって、水の出口である、隅角という場所を通って、眼球の壁の表面にある血管の中に流れていきます。

 この水の流れが順調にいっている場合は、眼圧はいつも正常範囲です。

 緑内障では、隅角での水の流れがうまくいかなくなるため、目の中に余分な水がたまってしまい、眼圧があがるわけです。

E 緑内障で使ってはいけない薬 
 

 色々な飲み薬に、緑内障の方は注意してください、とか緑内障のある方には使わないでください、と書いてあることがあります。

  かぜ薬、泌尿器科でもらう おしっこの薬、精神科でもらう薬などに多く見られます。

 胃カメラをする前に使う注射薬でも同じようなことを言われます。

  これは、急性緑内障になりやすい方に関係したことで
 ( 閉塞隅角緑内障と言います)、

  普通の緑内障の方には関係ありません。
 ( 開放隅角緑内障と言います)

  内科や泌尿器科のお医者さんから、あなたには緑内障という病気があるから、この薬は使えませんと言われることがあります。

 眼科医以外には二つの緑内障の区別はつきません。

  病院や薬局で聞かれたら、かかっている眼科に問い合わせてください。