みかさんの絵 15

深 夜

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「 深  夜 」     56 × 73 cm (フレームの大きさ)

  30年2月に持参された作品です。

  すごくいいですね。これだけの作品はなかなかありません。

 額装もぴったりです。最近は、雪絵さんがすすめてくれたフレームの中から選ぶことが多いのですが、これはふと目に入ったもので即決です。

 厚い本の形態を使って、夜の森の中を描いています。

 本の背表紙には 、「深 夜」 むらかみ みか 、と書かれているのでしょうか。

 森の中と言いましたが、そうではないかもしれませんね。


 
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  もっとも、僕は最初に見たときに、深夜ではなく、深海のイメージを受けました。

 ろばと少年が歩いていますし、右側には大きな鳥の顔が見えますから、海底では変ですが、感覚的なものですからどうしようもありません。

 夜の暗いブルーの色合いが、深海の海底を思わせるわけです。

 おまけに変わった形の植物が沢山あります。中には、なんとなくイソギンチャクとかホヤのように見えるものがあり、余計に海の感じがしてしまいます。

 本のまわりにも、中にも星があります。

 少年が不思議な本を読んだ後に見た夢かもしれません。
やはり、この森の中 ? の光景は変わっていますね。

 悪夢ではありませんが、不思議な夢です。


 

窓 U

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「 窓 U 」   21 × 21 cm  (フレームの大きさ)

 みかさんの小品によく見られるパターンの作品ですね。

 2匹のキツネが野原で向かいあって座っています。楽しそうです。

 素朴な木のフレームを合わせました。

 お日様が照っていて、向こうには家があります。窓から外の風景を見ているかたちになっています。



 

水の記憶

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「 水の記憶 」   93 × 128 cm   (フレームの大きさ)

 30年2月に持参された作品です。

 窓枠のような形がいくつか並び、中に中世ヨーロッパを思わせる世界が見られます。

 もっとも、全体の感じはローマ時代のようでもあります。

 中央にはエンボスされた大きな魚が何匹も泳いでいます。

 全体に落ち着いたシルバー調の色合いです。フレームと良く調和して格調高い感じで、重厚にできあがっています。


 
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 左下の枠の中にはリュートが描かれています。本当に洋ナシのようですね。
 右側の枠の中に見られるものはなんでしょうか。

 中には中世の人たちか、あるいは森の小人のような人たちが踊っています。
 楽器を持って歩いている人もいます。




 
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 右上の絵の中には、百合の花と、その下を歩く動物が描かれていますが、みかさんのほかの作品の中にも、これに似た動物を描いたものがあります。ウマの系統のもののようですがはっきりはしません。

 窓枠のフレームの中に、また同じ形態の小さな形がいくつか埋め込まれています。
 ここでのフレームには左下のものとは違い、金色の縁はありません。さらに、その右側には影のような枠が並んでいます。


 
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中央にエンボスされた魚は立派なうろこが目立ちます。

泳いでいるサカナというと普通は流れるような表現が多いのですが、これはむしろ荒々しいと言ってもよいような、元気でごつごつとした魚たちです。

  うろこが強調されている感じからは、鯉幟を思い起こします。あるいは、鯛焼きですね。
 これは少し失礼かもしれません。深謝。







 
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 ぴったりの良いフレームが見つかりました。絵の調子にふさわしく、格調高いシルバーの厚手のものです。彫られた紋様も素敵です。

 「深夜」のフレームも幅広のものですが、絵の内容によっては少し重いフレームもステキですね。

 できあがりは重厚な感じで満足できる仕上がりです。


 

海と私

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 「 海 と 私 」   33×27 cm  (フレームの大きさ)

 人物を中心に置いた小品がいくつかあります。これはその中では少し雰囲気の異なる作品です。

 「 セ ミ 」、「 緑 」と比べてみるとその違いを感じ取れるでしょう。
(みかさんの絵 12,14)

 上の2つの作品では、背景も人物もすっきりした感じでできあがっています。
  「セミ」の背景は1本の木が写実的に描かれており、「緑」では装飾的ではありますが、複雑な背景ではありません。
 人物もスマートなできあがりです。

 「海と私」では、全体的に、より絵画的な表現がなされています。人物の雰囲気も少し異なっています。

 額装は「土地」でも使いましたが、真珠貝の貝殻のような雰囲気のもので、海に合わせてみました。


 
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 絵の上部には魚がいます。これもリアルな表現とは言えません。

 ふと思ったのは、滝田ゆう、の漫画です。吹き出しの中にセリフを入れずに絵を描くことがその特徴なのですが、この魚もそうかな、なんて考えてしまいました。 

 女性の長い髪が体の左側に流れるようにたれています。上衣の襟元には花があり、全体の形からは沖縄のような感じを受けます。

 みかさんの人物の顔立ちは面長で鼻筋が通ったものが多いです。目も閉じているのが普通です。

 「空」「世界」の女性もそうですね(みかさんの絵 3)。「夏」の女性も同じですし、「眠る女」は言葉通り、目を閉じています。
(みかさんの絵 7)

 目を開いているのは、「ピラール女神」のマリアだけです。面立ちも、聖母マリア、イエスともに丸顔です。
 これは描いた対象、内容が全く違うものであるということから納得できます。
(みかさんの絵 3)

 「海と私」の女性の顔の雰囲気には、少し他とは違ったところがあるように見えます。他の作品同様、静寂という点は似ていますが、少し複雑です。


 背景の複雑な色の影や線描が顔にもかかっていることも影響しているようです。

 フランケンシュタイン、ブラックジャックのように(少し大袈裟ですね)、顔に縫い目が残っているように見えないこともありません。

 この作品を最初に見たときから、なにか違和感があり、気になっていました。こういう何か引っかかる感じというのは大事なことです。

 何度も見ているうちに、少しずつわかってくるのが絵を見る楽しみです。

 最初からいいね、と思う作品は後にあまり残らないこともあります。素直になめらかに流れてしまうのは、必ずしもいいことではありません。

 他の作品の人物たちは、無心の状態のように見えますが、この女性はなにかの記憶をたどっているようです。

背景は、彼女の心象風景でしょうか、眼を閉じている女性の頭の中に浮かんでいる海。


  「 私の耳は貝の殻、海の響きを懐かしむ 」